洗練されたミニマルな空間
住まいにとって大切なことは「自然」の恵みを五感に感じることだと思います。 古くから日本建築には「自然をごく近い位置まで引き寄せる」工夫がなされています。 現代の建築においても自然との共生(ともいき)が必要です。共生(ともいき)とは禅の発想ですが、世界に通ずる日本の価値観となっています。
フラットボレロ浄土寺では、豊かな自然、世界遺産を擁する閑静な近隣エリアとの調和をまず考えました。建物は「禅(ZEN)」をモチーフに設計。故スティーブ・ジョブスも傾倒した「禅(ZEN)」とは、一言でいえば、文字通り(示∔単)。物事をシンプルに示すことです。無駄なものを削ぎ落していった先に見えるのが「本質」です。そのため、デザインは、シェア生活に必要なもの(本質)を選び充実させたシンプルなものとしました。 共用部・個室の天井を高くすることで、体感容積を大きく取り開放感があり、自然光が差し込む穏やかな空間としています。
橋本尚之(建築家)
京都市出身。京都精華大学卒業。淡路島ウェステイン・ホテル(現グランドニッコー淡路島)、西田哲学館、ぐんま昆虫の森美術館などの実施設計に携わる。2010年 アトリエ栖風一級建築士事務所設立